「\北摂ってちょうど良い/ローカルな暮らしと起業のこと。」開催レポート

by yu1 2024年2月13日

2023年12月2日(土)大阪・京橋にあるQUINTBRIDGEでローカルな暮らしと起業にまつわるトークイベントを開催しました。

どうして北摂の話を大阪・京橋で?

わたしたちが活動している豊能町は北摂エリア。大阪梅田から電車で約1時間で、府内とは思えないのどかな風景が広がります。

今までは移住カフェと題し、豊能町の暮らしを伝えるイベントを地元で開催してきました。今回は「豊能町だけじゃない、北摂一帯の良さを大阪市内の人に知ってもらおう!」「大阪市在住の人にも来てほしいから都会でイベントを開催しよう!」と、市内のおしゃれな会場で開催を決めました。

都会に比べてちょっぴり不便なんじゃ…?

いえいえ、都会と離れているからこその恩恵もたくさんあって、暮らしと仕事のバランスがちょうどいい北摂。郊外でゆったりとした暮らしを楽しみながら、自分のスキルや地域の資源を活かして起業・自分らしくご活躍される方々のお話を聞く会となりました。

パネリスト紹介

登壇いただいたゲストを紹介します。大阪府豊能町、兵庫県川西市・猪名川町で活躍する3名にお越しいただきました。

◯浅野 博史( @relifeplus.toyono )

Re:LiFe+(リライフプラス)代表。2023年4月より大阪府の北摂に位置する豊能町にて事業開始。現在は、池田市に居住しながら豊能町で主に活動。事業内容は、主に理学療法士としての経験を活かした健康サポート事業や移動支援のための福祉タクシー事業を展開。また、豊能町で活動をしている方々と連携を取り、地域おこし団体の運営にも携わる。

◯九鬼 麻衣 ( @chiisananigiwai )

合同会社アンドイー 代表。大学卒業後、地元役場に入庁。結婚・出産を経て「自分らしい働き方」を夢見て退庁。その後、カフェ店員・学校事務員をしながら、複業で一般社団法人メンバーや個人事業主として活動。2018年に個人事業主として独立、2020年法人設立。2019年より川西市中心市街地のタウンマネージャーとして駅前の活性化に取り組む。

兵庫県川西市/猪名川町を中心に、マルシェや催事を通して「小さなにぎわいをつくる」をコンセプトに活動中。

◯藤原 拓也( @inazumaya )

合同会社稲妻家 代表。2022年12月末まで川西市黒川地区にて「玄米専門店」のレストランを経営。コロナの影響と子どもがまだ小さいこともあり、豊能町にある自宅でできる事業に変更する。これまでの経験を活かしてできる事業を少しずつ広げながら、自宅の一部分を使い、オリジナル雑穀米のネット販売事業、玄米おむすびの全国発送事業、主婦(夫)のための作り置き料理事業を展開中。

トークテーマ

  1. ローカル起業者によるライトニングトーク
    1. 起業のきっかけ
    2. しくじり話やここが大変!
    3. これからやっていきたいこと
  2. 起業者ぶっちゃけ座談会
    1. 北摂、ここが不便?
    2. 生計上どんなとこが変わった?
    3. こんな人に北摂おすすめ!
    4. 質疑応答
  3. 交流会

1:ローカル起業者のありのままを!「ライトニングトーク」

今までの経歴や苦労話、事業が軌道にのってきた時の手応えなど、知人の私たちでさえ知らなかった貴重なお話をたくさん聞くことができました!

浅野さん「理学療法士の力で地元を元気にしたい!」

2023年4月に事業をスタートされたRe:LiFe+(リライフプラス)の浅野博史さん。理学療法士として大阪府豊能町を中心に活動しています。
保険制度とやりたいことで板挟みになった葛藤や、自分の力を地域に還元したいという思いから、起業を決意。家族を説得し、まずは仕事と並行しながら活動を開始します。最初は地域で繋がりを広げるためにいろんな場へ足を運んだそうです。


現在は、地域に根差すサービスを目指し、若手農家と共創し農業トレーニング事業の展開や、地域のお土産をリブランディングするなど、今までの専門分野に囚われず多方面で活動しています。
やりたいこと、やるべきことがたくさんありすぎて、1日30時間は欲しいという浅野さん。最初はついつい深夜まで作業をしていたそうですが、個人事業主は身体が資本だからこそ、今まで以上に健康に気をつけて仕事をするようになったとのこと。それでも毎日が楽しくて仕方ないから、起業して良かった!と笑顔で話します。

新しくなった地域のお土産「とよのサイダー」と浅野さん(写真提供:とよの場

九鬼さん「地元愛あふれる地域の人の影響を受けて」

合同会社アンドイー 代表の九鬼 麻衣さん。兵庫県猪名川町で生まれ、地元役場へ入庁します。そのとき、地域の人たちとの出会いを通し「なんて地元愛にあふれているんだ!」と驚きつつも、しだいに自身の地元愛も育まれていったそうです。
そんな中、地域で活動する人たちからチラシ作りを依頼されはじめます。当時はボランティアで応えていたため、お礼にと野菜やいろんなモノをいただいたのだとか。「依頼する方も明確な料金プランがあったほうが頼みやすいのでは?」という気づきから個人事業主として独立、2020年には法人を設立します。


「社長になりたかった」という九鬼さん。やること、やらないことの取捨選択や時間の使い方を自分で決めたい!という強い願いが原動力になったようです。
現在は「住民の皆さんが町でやりたいことを通して、地域で暮らすことがたのしい人を増やす」ことをモットーに活動されています。スライドで見せていただいた活動写真では、九鬼さん自身がとても楽しそうにしている姿が印象的でした。

地域の人や町の魅力を最大限に引き出したしたイベントを企画運営している九鬼さん。活動中の写真がとても楽しそう!

藤原さん「ライフスタイルの変化とともに働き方も変化させた」

合同会社稲妻家 代表の藤原 拓也さん。学生のころからぼんやりと自分で何かしたいと考えていた藤原さん。働き方を模索しながら多岐にわたる業種を経験、「おむすび屋をしたい」という知人の誘いがきっかけで大阪・中津に「稲妻家」が誕生します。


開業当時のしくじりエピソードを教えてくださいました。日が迫っていたこともあり、準備に追われ様々なことを熟考する暇もなくオープンへと漕ぎつけた「稲妻家」。開業して間もない頃は立地の良さもあり、集客に苦労せずたくさんの人でにぎわいましたが、しばらくするとパタっとお客さんが来なくなったそうです。こわい…。

知人から稲妻家を引き継いだ後、競合他社のリサーチ、ターゲットの設定など「ブランドの構築」に注力し「玄米専門店 」としてのレストラン事業へ舵を切った藤原さん。結婚を機に、都会の中津から里山エリアの川西市黒川地区へ移店。近隣だけでなく遠方からも、多数のファンに愛されるお店へと急成長を遂げます。しかしその数年後、新型コロナウイルスの影響そして家族との時間を最優先するために、自宅でできる事業にシフトチェンジ。惜しまれながらも2022年12月末に閉店されました。


それまで家族との時間を犠牲にしがちな働き方でしたが、今は時間の使い方が変わったという藤原さん。こどもの体調不良にも臨機応変に対応できる今の働き方が自分に合っているとお話してくれました。

家族との時間を大切に過ごす藤原さんだからこそ、「家族思い・身体思い」の稲妻家のブランド力がさらに強化されている。(写真提供:稲妻家)

2:暮らしにまつわる「起業者ぶっちゃけ座談会」

第二部は、登壇者3名による起業者ならではのリアルなぶっちゃけ座談会。

北摂、ここが不便?

もともと中津でお店をされていた藤原さん、都会と北摂の違いについては、人通りの数がまったく違う!とコメント。「まじで全然人が歩いてない…!」と力が入った言葉に思わずうなずく登壇者たち。川西市黒川地区でレストランを経営されていた頃は、店前を通行する人の数は少ないものの、ロケーション抜群の里山地区に「身体に優しい食事を提供する」というコンセプトは相性ばっちり。はるばる店を訪れるファンが着実に増えていきました。そのエリアにあわせたコンセプトが構築できれば、人通りは関係ないとお話ししてくださいました。

九鬼さんは「良いことしか言えない!(笑)」と前置きした上で「不便だと思ったことって案外ないんですよね」と話してくれました。地元愛があれば、不便さも気にならないのかも?

生計上どんなとこが変わった?

「お小遣い事情は、ぶっちゃけ減りました!」とお答えいただいたのは、最近事業をスタートされたばかりの浅野さん。その反面、やりたいことに費やせる時間が増えたとのこと。

九鬼さんは、「公務員時代と比べて収入自体はプラスだけど、時給に換算するとヤバイ」と笑います。ずっと仕事をしていたい!という仕事LOVERな気質ゆえ、労働時間は圧倒的に増えているそうです。それでも「身体が異常に強いのが自慢!」という九鬼さん。起業者の皆さん、体調管理と時間管理にはとても気を遣われている様子が伺えました。

こんな人に北摂おすすめ!

「ぜひ若い人にきて欲しい!」という九鬼さん。
大阪・中津から兵庫県川西市、能勢町、自宅のある豊能町へと事業所を転々としてきた藤原さんは、「暮らしに合わせて事業所の引っ越しをしてきたけど、豊能町在住の今が一番暮らしと仕事のバランスがちょうどいい」とお話されていました。

能勢のアップサイクルショップ「BERGKAMP(ベルカンプ)」さんで見つけたという九鬼さんトレーナーには「HOKUSETSU(北摂)」の文字が……!(写真中央)

3:北摂プレーヤーを知る交流会

交流会では、大阪市内の方、北摂で活躍しているプレーヤー、起業したばかりのママ、北摂が好きな大学生など多様なメンバーで交流。
参加者からは「他の地域のプレーヤーと出会えて情報交換の場になった!」「これから自分がやっていきたいと思っていたことを既に実践している人と繋がれた!」「北摂の暮らしに興味があったので楽しかった」との声も。


「次回も、池田・猪名川・川西etc…北摂くくりで移住イベントをしましょう!」と賛同いただいた方々からさらに大きな展開のアイデアが生まれています。登壇者も参加者も垣根なく話すことができました。

ローカルだからこそできる暮らしと働き方

どこで起業するかを考えたとき、都会に比べるとローカルな場所は制限や限界がある印象を持たれがちですが、北摂で活躍する皆さんはその制限すらもポジティブに捉えて、取り組まれている姿が印象的でした。
それは起業という夢とともに「理想の暮らし」「自分らしい生き方」をも追求できる地域を自ら選択したからこその姿。この北摂という地域へ愛着を感じるのは必然であり、何よりも大切な要因なのではないでしょうか。

それぞれ違う業種の三者三様の実体験は、都会で事業を展開している・していく方にも、暮らしや働き方を考えるきっかけになるのではないかと思います。
ご自身の経験を丁寧に伝えてくださったパネリストの浅野 博史さん、九鬼 麻衣さん、藤原 拓也さんありがとうございました!


今後も北摂で活躍する、個性豊かな起業者の方にお話をお聞きしたいと思っています。また次回の開催を楽しみにお待ちください!

当日の様子を動画でもまとめています!

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