「ZARAでスーツが買いたいんや」
タンクトップ一丁の夫のひとことで迎えた休日の朝、大きめのZARAへ向かうことになりました。大型店舗かつ子連れでも行きやすいZARAは、豊能発なら千里万博公園にある「ららぽーとEXPOCITY」店が最適解、と私は思うのです。
市街地より山道を走るのが大好きな夫の運転は、たいてい余野〜希望ヶ丘〜彩都を経由する約1時間程のルートが定番。
※ちなみに、箕面有料道路を使った最短ルートだと30分で到着します。
すこし遠回りして、好きな音楽をかけて右へ左へと蛇行する山道をひた走るうち、気づけば車内カラオケ大会になっている──、これもまたわが家の定番のひとつです。
「どれほゥど 歩いたろォ〜♪
……あ、今のなに!?なんか書いてあった!!」
わたしが雄叫びをあげたのは、府道110号線のちょうど茨木市へ差し掛かったポイント。「運転の気をそらすような声がけは絶対にNG」小さい頃から強くそう叩き込まれていたはずなのですが、思わずその禁を破ってしまったくらい、やけに気になる手作りの看板が目に入ったのでした。
わたし『ぱかぽこひろば』だって!
むすめ&夫『ぱかぽこひろば』だって!
むすこ……(就寝中)
無邪気に声を揃えて読み上げ、その場で即検索。どうやらこの先に馬とふれあえる施設があるそうなのです。いつか行こうね、みんなでそう誓い合って。
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長い長い梅雨でした。貴重な晴れ間がのぞいた休日、ついに!念願の訪問が叶ったのです。
出発を決めた朝、念のため電話(070-5262-3753)をして、日時とおとなと子どもの人数を伝えます。
大黒様のようなホクホク顔になること間違いなし
ぱかぽこひろばの料金システムはすこし独特。
まず担当になってくれるお馬さんの時間分のレンタル料(1時間 3000円)、そのほか施設管理費がひとり300円(3歳以上)がかかります。
一家4人で4000円越えか……。ええ、正直に言うと、電話口であらかじめお値段を聞いた時「お。高い」とすこしひるんでしまった。*
*一般的な乗馬クラブはもっとお高いのだそう。
でもね、数時間後の帰り道の助手席では「こんなにもたっぷり遊べて四人家族で4000円代、めちゃアリじゃない?!」と身も心も満たされたホクホクの大黒さまのような顔で手のひらをひっくり返しましたんでね。
ここからはその充実ぶりを写真多めでお伝えしていきます。
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ぱかぽこひろばに到着して出迎えてくれたのは、「ゆうこ」さんと「おっちゃん」。
実際に馬に触れる前に、まずは、ゆうこさんから馬たちの紹介タイム。
馬の年齢を4倍すると、人間のおよその年齢に換算できるのだとか。その換算法で考えると、ポニー種の《リッチ》さんはなんと100才!年齢不詳の状態で、ここへやってきた《さくら》ちゃんも、毛並みや体格からおそらく高齢だろうとのこと。
体格がすばらしい道産子の《こころ》ちゃんはハタチくらい。美人さんの《きずな》ちゃんは海外の血が入ったハーフの16歳JK(高校生)。難しいお年頃なのだとか。
どっこい、こちらには何をしでかすか分からない人間の3歳児がいるんですよね。反抗期 VS 3歳児。
……結果は目に見えているので(笑)落ち着いた年長者の《リッチ》さんと《さくら》ちゃんに担当についてもらうことになりました。
馬もツカミの第一印象が大事
ゆうこさん「問題です。お馬さんと『はじめまして』の時、どう接するのが一番いいと思いますか?」
突然はじまるシンキングタイム。ゆうこさんは馬の生態、馬のキモチ、馬とのコミュニケーションの深め方を、子どもたちにも分かりやすくクイズ形式で教えてくれます。
目の前にかわいい動物がいると、つい手を伸ばして触れてみたくなるのが人間のサガ。でも馬にだって、触ってほしくない時もあるし、仲良くなるためのルールがある。
「人間だって、初対面の人に突然ベタベタ触られたら嫌でしょう?人間と一緒なんです。」
人が工夫して、馬と共存していく
ファーストインプレッションは大成功。お互いにすこし距離が縮まったところで、第二関門のブラッシングです。
より体を密着させる必要があるブラッシング時の注意点もきっちりと教えてもらいました。
草食動物ならではの視野の広さ、そしてその死角。馬が恐怖を感じた時、どんなリアクションをとるのか。どうすれば馬は安心するのか──馬の生態に精通し、馬を愛するゆうこさんだからこそ、馬の気持ちに寄り添った着眼点が印象的です。
人間のやり方を押しつけず、馬の生態と個性にあわせて人間が工夫して動く。お互いの領域を守ることで、悲しい事故も起こらないし、まるで人のようにコミュニケーションを深めることができるのだそうです。
神秘。
便秘が大敵
「馬は便秘で死んでしまうこともある」
とにかく馬トリビアがぽんぽん飛び出す、ゆうこさん 。子どもたちを差し置いて、おとなの私でさえ素直な「へぇ!」が思わず飛び出してしまいます。
「馬は1日に10回以上ウンチをする動物なので、常におなかが活発に動いているんです」
写真は自粛しますが、ポニーのウンチはまるでひとつひとつ人の手で作ったみたいに綺麗な小判形をしています。
「嗅いでごらん?」
ゆうこさんに、やや強引に(笑)鼻先に持ってこられたウンチをおそるおそる嗅いでみると……あれ?ぜんぜん臭くない!緑色でまるで草餅みたい。
そういえば、ここ「ぱかぽこひろば」そのものもそう。牧場でよくある、ちょっと苦手なあのニオイ。あのニオイがここにはない。全然臭くないのだ。*
*わたしの鼻はあまり当てにならないと家族の中で有名なのだが。
人馬一体にあこがれて
「それでは、いよいよ!」とゆうこさんがリッチさんの背中に乗せたのは、かわいいキルティングの布と、ふわふわの座布団みたいなもの、そして見慣れない手すりだけの柔らかそうな馬具。
この手すりだけの馬具は、主に曲芸用として使われるもの。
乗馬の際には硬い鞍(くら)を乗せるのが一般的。だけど、柔らかい布の方が、馬の筋肉の動きを自分の下半身で感じながら乗馬することができるので、上達も早いのだそうです。
引き馬は、人間と馬との根くらべ
《リッチ》さんと《さくら》さんとともに、奥の広場までいざ出発!
…… と思いきや、なかなか思うようには動いてくれません。引っ張っても歩いてくれなかったり、ぐいぐいと大きな体を寄せてくるので溝にはまりそうになります。
動かない《リッチ》さんを、9歳の長女が精一杯の力をこめてゴー!の掛け声とともに引っ張ります。最初は抵抗していた《リッチ》さんですが、だんだんと「しょうがないな……」と歩き出してくれるようになりました。ありがとね、《リッチ》さん。
おっちゃんによると、“この人についていってもいいのか、馬の自分がリードしたほうがいいのか、見極めている”のだとか。
ちなみに一足先に進んでいた夫と《さくら》ちゃんペアに目をやると、お互いぐいぐいと体を押しあって牽制し合い『人』という漢字みたいになってました(笑)「根くらべやな」とおっちゃんは笑います。
※音が鳴ります
馬のことを学んで・知って。
馬と人間がお互い心を通わせようとする夢のような時間。
こちらは馬上体操。
背中に乗ったまま手綱を離して、両手をひろげる・馬のしっぽをさわる・耳をさわる・ねっころがる──。万事シャッターチャンスの宝庫です。
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後日、友人親子を連れて再来訪。馬に慣れたタイミングで、基本レッスンもお願いしました。小学校3年生女子が補助なしで乗馬する勇姿に、わが子ながら大感動!
※レッスン費用については別途お問合せください
お母さん、ここに座って休憩でもしなさい
これはおっちゃんの決まり文句。親としてはついついね、「ほら!ちゃんと見て」と危なっかしいシーンに口出しや手出しをしてしまいがちなのですが、その度におっちゃんにたしなめられます(笑)
言われるままに椅子に腰をおろして、子どもが動物と心を通わせている様子を遠くから見守りながらしばしのお茶タイム。これが親ごころ的にとても癒されました……。
気づけばあっという間に日が暮れて。すっかり馬のとりこになったうちの子たち。すこしの時間も離れたくないようで、気がつくと馬をやさしくなでていたりして。
大きく手をふって「ぱかぽこひろば」が見えなくなる帰り道、すっきりとした充実感と早くも望郷の念が同時に押し寄せる、なんとも不思議であたたかでクセになる場所でした。
追記
ぱかぽこひろばには、牧場整備のお手伝いの方々がいていつもワイワイとにぎわっています。10代の少年から大人まで、ご職業も様々。
馬、自然、ゆうこさん&おっちゃんのお人柄に惹かれて集まった人たち。馬と牧場をベースとしたひとつの大家族のようなコミュニティもまた、ぱかぽこひろばの魅力のひとつです。
牧場整備のお手伝いは絶賛募集中!とのことですので、ご興味ある方はぜひお問合せください。
施設情報
ぱかぽこひろば
- 住所 〒568-0086 大阪府茨木市上音羽178
- TEL 070-5262-3753
- ※ 来訪前にお電話等でご予約をお願いします
- 営業時間 平日:要相談/土日祝:午前10時から日没まで
- おすすめの格好 長靴・長袖・長ズボン(汚れても良い格好)
- HP http://pakapoko.com/
牧場整備のお手伝い、絶賛募集中