みなさんご存知のように、ここ豊能地方はコーヒーの美味しい有名店や焙煎してくれるお店がたくさんあって、コーヒー好きにはとても住みよいところになっています。そんな贅沢なコーヒー環境のなかでわざわざ自分でコーヒーを焙煎してみようという記事です。
美味しいコーヒーがいつでも飲めるところに住んでいて、焙煎から自分でするなんて面倒くさいだけではないのでしょうか、と思うかもしれませんが、私はコーヒーを単なる飲み物ではなく時間の演出装置だと考えています。いつもの素晴らしいコーヒータイムに加えて、たまに行う自家焙煎のコーヒーがなんかいい感じに、いいこと言って始めようと思ってたのになんか全然語彙が足りなくてなんかあれですが、なんかいい感じに、焙煎するといいです。
昔アラブのえらいお坊さんが恋を忘れたあわれな男にしびれるような香りいっぱいの琥珀色した飲み物を教えてあげました的な飲み物、コーヒー。だいたいの人は粉の状態までしか見たことがなく、その前にコーヒーがどんな姿形してるか、想像したことも無いですよね。粉になる前の豆の状態の時は何かの機会で見たことがあるかもしれませんが、それより前、もともと生の豆を焦げた状態にすることを焙煎といいます。美味しんぼ読んでた人は、山岡くんのお母さんが海原雄山にめっちゃほうじ茶を焙じさせられる回を読んだことあるかもしれませんが、あのほうじ茶を焙じるときの茶を豆に変換したものが、コーヒー焙煎という認識で、まず間違いないです。ちなみになんですが、恋を忘れたから男のことをあわれだと判定したんですかねえ。だとしたら人をあわれだと決めつけるときのガイドラインすごいことになっていますよねえ。それとも色々複合的に判断した結果あわれだと判定された男がたまたま恋も忘れていたということでしょうか。あっ、美味しんぼの話はもう終わってて、コーヒールンバの話です。そのコーヒールンバの話ももう終わりです。すいません、話がとりとめなくて。
さてさて、うれしいことに色んな方から「こんどまた焙煎教室やってください!」とお声をかけてもらうんですが、前回やったのはハンドドリップであって焙煎ではないんです。ハンドドリップはコーヒーの淹れ方で、焙煎とはちがうんです。なぜ焙煎やんないかというと、道具とか揃えるのめっちゃ面倒くさいからなんですねー。いやいや、面倒臭がらずにそこはちゃんとやろうよって意識高い系の声が聞こえてきそうですが、確かに道具は揃えようと思うと3000円もあれば一組そろうはずなので、ポケットマネーで何組か揃えることもできそうなんですけど、そう何個も何個も焙煎道具がアマゾンの箱で届くようになると、妻の目が怖いんです。こないだも機嫌が悪い時に届いたのか、子供のお砂場道具買ってあげたらすごい怒られまして!
ということで、どうしたものかなーと考えあぐねていたんですが、焙煎のやり方は記事にしちゃえばいいんですよね。盲点だった。そんなこんなで、コーヒー焙煎のやり方を紹介します。
なぜ私が焙煎をするようになったのか
もともとコーヒー嫌いだった私が、なぜ焙煎を行うようになったのかというと、コーヒーを飲むようになってから自分で焙煎したら圧倒的に安いことに気づいたからです。金銭的に安い。これ以上の理由がありません。
もう少し細かく言うと、美味しいコーヒーが安く飲める、ということになるのですが、どんなにまずくて安いコーヒーよりも自家焙煎のほうが安上がりになるのです。どのくらい安いかというと私は豆を1kg890円くらいで買うので、一杯10gの単純計算で9円弱ですね、どんだけ安いコーヒーでもこれより安くは飲めんだろうというくらい安くつくので、かなりお得です。だいたい一回で400gほど焙煎して、それを10日ほどかけて使い切ります。自家焙煎おいしいです。
安いことをネット上であまり連呼してると、すぐ時空警察がやってきて「貧乏人はすぐ目先の安さに飛びついて、自分の時間をお金で買うという豊かさを知らん。焙煎する時間があればコーヒーを買うことで真に自分の時間を豊かに使えるというのに」という頼まれてもない謎マウンティングを仕掛けられたりするのであらかじめ反論しておきますと、焙煎一回につかう時間は、用意などを含めても20分ほどです。コーヒーの焙煎は自分のためにやってることなので、10日に1回、20分ほど自分のための時間が作れないのは、そっちのほうが自分には豊かだとは思えないということです。
焙煎をやりはじめて気づいたこと
まだ始まらんのかとお思いでしょうが、うん、まだです。前置きが長いのが私の記事の特徴です。その代わり、終わる時は急に飽きたかのようにしぼむので釣り合いは取れてます。だいじょうぶです。
さて小見出しのとおり、焙煎をやるようになって気づいたんですが、コーヒー焙煎って失敗しても飲めないほどまずくはならない、んです。言い方を変えると、失敗を怖がらずに焙煎しようってことですね。コーヒーって焙煎してから2週間以内くらいまでが一番美味しいので、その美味しい時期に飲めるし安いしで、焙煎にはいいことしかないってことです。
それに簡単。私が焙煎をやってみようと思ったきっかけの一つに、なんかのビデオで貧しい国の人がフライパンで適当にコーヒー豆を焦がしてるの見たときに、あ、こんな雑にやってもいいんだ、って知ったからってのがあります。安定させて売り物にしようと思うともっと気をつけないといけないこととかあると思いますが、自分で飲むぶんにはどうやっても出来ちゃうので、これはやってみない手はない、そう思うようになりました。
焙煎の仕方
「コーヒーの焙煎やり方を教えてください」と言われれば、私はこう答えます。
「将棋のやり方を教えてくださいと言われれば、簡単ですよ、駒をこう指で摘んで動かすだけですと答えます。サッカーのやり方を教えてくださいと言われれば、球を蹴るだけですよ、楽しいですよと答えます。コーヒーの焙煎の仕方も同じです。火の上で豆を焦がすだけです」
まだ始まらんのか、はよやり方教えてくれやという声が聞こえてきそうなので、ごたくを並べるのはこのくらいにしておきます。この話、本当はもっとしたかったのですが。
用意するもの
- 焙煎用の手網(銀杏炒る用のやつをアマゾンで2000円くらいで買った)
- 文房具のクリップ2個
- 冷ます用のザル(家庭菜園用のふるいの大きいやつを買った)
- 軍手
- うちわ
最低限、必要な道具は上の5項目だけです。軍手やうちわは既にあると思うので、焙煎を始めるためだけに買わないといけないのは手網とふるいとクリップくらいですね。次項から手順と一緒に写真付きで解説していきます。これらの道具を、私は焙煎するようになって3年ほど、1週間から10日に1回は焙煎してるのですでに100回以上行っていますが、安い道具ながらまだまだ壊れる気配もなく長持ちして使っています。
あ、豆は「コーヒー 生豆」など検索してアマゾンやネットショップで買えます。うちは安さ重視で1kg890円〜1100円くらいの豆を選んでいますが、奮発しても1kg2000円とたいへんリ〜ズナブルなのでいろいろ試してみるのもアリアリだと思ったりなんかしたりしています。ここ、なんで歯切れが悪いかというと、自分には高い豆による味の違いがわからなかったからなんです。かといって、「どれも同じ!安い豆を買うべし!」というほど積極的に高い豆否定派なわけでもないので、高い豆ならもっと美味しいんだろうな〜とは思うものの、自分は体験できてないのでそこあんまり知ったふうに書けない、ってことでございます。
手順
ポイントは、焼きムラが出来ないように均等に熱が伝わるように網をふることと、いい焙煎具合になったら一気に冷ますことです。順番に手順を説明していきます。
この手網の大きさだと、一回に200g〜250gくらいの生豆を入れます。
焙煎中、豆が飛び散らないようにクリップでしっかりフタを閉じます。
焙煎開始。中火にしてこのくらいの高さで手網を振ります。高さは、低すぎて直火で焼かないようにしつつ、遠すぎて熱が伝わりにくいことを避けるくらいの高さを目安にしてください。手網を振るのは、豆に均等に熱を伝えるためです。
あとは、ひたすら網を火の上で振り続けていると、3分から5分もしないあいだにパチッパチッと強めに豆が爆ぜる音がしてきます。これを1爆ぜと言ってここから焙煎完了の目安を測っていくことになります。
豆が爆ぜる音を聞きながら、けっこう強めな音なので「ああ、かちかち山で栗が囲炉裏の中から弾けてサルに攻撃したときも、このような音がしていたのだなあ」などと物思いにふけっていると爆ぜる音が次第にピチピチピチという連続音に変化してきます。これが2爆ぜ目です。ちなみに、栗が爆ぜて猿に攻撃するのはかちかち山ではなくてさるかに合戦のほうです。
言葉で説明するより、実際に聞いてもらったほうがわかりやすいと思って動画をアップしました。アップして思ったのですが、動画でみてもらうより実際にやってもらったほうがわかりやすいです。つまり動画ではあんまりわかりやすくなりませんでした。こんな説明読むより、やってもらったほうが早いです。この記事や動画の存在意義って。一所懸命編集したのに……。
で、まあ、1爆ぜのときに切り上げると軽めのロースト、2爆ぜ目あたりから重めのローストになるので、あとはお好みを見つけましょう。ああ、軽め重めと格好良いめの専門用語使っちゃいました。軽いってのは苦味があんまり感じなくて、重いってのは苦味が強い感じのことを言ってます。軽い重いじゃなくて最初から苦いって言えばいいのにね。ごめんね。ひとことで表すなら苦いでいいけど、実際にはもう少し味の違いがあるので察してね。ちなみに、私は2爆ぜ直後のフルロースト気味がいちばん好きです。
火からおろしたら、素早くうちわで仰いで冷却しましょう。火からおろしても豆自体がまだもってる熱で焙煎が進行してしまうのを防ぐためです。うちわ面倒臭いという人は、ドライヤーで冷却しても良いです。私は、ある程度冷やしたら大きめの園芸用ザルに移し替えて、さらに冷ましやすくしています。
コーヒーのいい香りとはいえ、匂いはけっこう出ますんで、焙煎の際はご近所に対して匂いの配慮は必要かと思います。私は焙煎そのものは家の中で行っていて、冷却だけ煙がけっこう出るんで外で行うようにしています。
できあがり
豆が触っても熱くない程度まで冷えたら、お気に入りの容器に移し替えて保存して出来上がり。すぐに飲むよりは、1日から3日ほどおいたほうが美味しく飲めます。
先にも書きましたが、200gずつを2回焙煎して400g。準備をあわせても20分もかかりません。これをだいたい10日に1回のペースで行っています。我ながらなかなかいい趣味だと思っています。
メディアが語らない、焙煎の闇
コーヒー焙煎はいい事ずくめだと書きましたが、ひとつだけありました。コーヒー焙煎の闇の一面。
それは、焙煎後はチャフと呼ばれる豆の薄皮でコンロ周りがすごく汚れることです。
これをそのままにしておけば、妻や子供たちからすごく怒られて、なかなかすごく怒られます。すごい怒られてなんかすごいあれです。怒られます。なので掃除が必要です。
写真にもチラッと写っていますが、掃除にはハンディタイプのほうきとちりとりが便利です。掃除機とかよりも手軽にさっと掃きとれて片付けも簡単です。
道具を紹介
アフィリ付きではありますが、今回使った道具について紹介しておきます。無理にここから買わなくても、ホームセンターなどで手頃に揃いますので、各自工夫してみてください。
2 コメント
見て いて楽し かったです。
うちでもやってみてます。
おー!すでに始められてましたか!自家焙煎の味を一度知ってしまうと、なかなか戻れませんよね。ただし手間がかかるのが難点。わが家は夫が担当していますが私だったら絶対つづきません(笑)