「ぐりとよキッチン」でおなかが満たされたはずの私たち。残雪の景色を楽しみながら、さらに車を走らせます。
たどり着いたのは、大正9年から続く田舎豆腐の店「堂本豆腐店」。
堂本豆腐店は、観光パンフレットや雑誌をはじめ、ネットにも掲載多数。町外からも買いに来る人がいるという超がつくほどの有名店です。とはいえ自動車でアクセスするしかなさそうな場所な上、フツーの民家に古びた控えめな看板がかかっているだけなので、初心者にはなかなかにハードルの高いお店と言えます。
Googleマップが指し示す場所にそれらしき民家と看板を発見。ここだよね…?などと怯みたくなるところですが、交差点に面してるゆえモタモタしてる暇はない。思い切って、人様の民家(お店です)に侵入&駐車します。
“営業中”の札にちょっとホッとする一行。
「電話で予約した者ですけども」
「ここに駐めていいでしょうか?」
ドア越しに聞くと、ジェスチャーでOKと答えてくれました。
そうなんです。
堂本豆腐店はフラッと行っても売り切れの可能性大。たとえ一丁でも電話予約すべしとネットで情報を得ていた私たちは、あらかじめ電話連絡していたのでした。
名前を伝えると、お店のご主人と先代と思われるお父さん、そして娘さんかな?手際よく商品を用意してくれました。
澄んだ冬の水、よく手入れされた道具、働きものの手。こんなにもフォトジェニックな組み合わせがあろうか、と店内で激写しまくる私。
豆腐一筋、そう物語る先代の手。
そしてここを訪れるならぜひとも体験してもらいたいのが、できたて豆腐をその場で食すという贅沢。
「ここで食べたいのですが」と伝えると、立ち食いセットを用意してくれました。
チョンチョンと十字に切れ込みを入れて、ささっとだし醤油かけただけなのに、ちょっと見てよこの美しさ。
プラスチック食器がたわんでしまうほどの重量級田舎豆腐をご主人から受け取ります。
食材をひきたてる気なんてさらさらない、ペラッペラのプラスチック食器。雪解け水で足元はぬかるんでる。顔のすぐ横でひらひらとはためく年季の入った手ぬぐい…。
そんなシチュエーションで食べる豆腐なのに、なぜかこれが本当にうまいんです。とくに一口目の感動は忘れられない。シンプルな大豆の甘みを、だし醤油が引き立てます。
ちなみに立ち食いできるといっても、イスもテーブルもありません。軒先にお邪魔して、豆腐づくりの道具の傍らで立ち食いさせてもらうのです。こういうゴージャスとはちょっと違う体験、なんだか特別でわたしは大好きです。
ご主人は、本当はもっとできたてのやつが美味しいんだけどねーと少し残念そうに仰っていたので、電話で予約する際に出来立てを食べたい旨とできあがり時間を聞いておくとベストかもしれません。
◆
さてさて今回買ったのは、
- もめん豆腐
- おから(豆腐2丁以上購入すると無料でもらえる)
- 三角厚揚げ
- うす揚げ
の4品。おうちで堪能した写真でざっとご紹介します。
おからを使って「おから餅」。堂本豆腐店のおからは純白でしっとり。それがビニール袋パンパンに入って無料というからありがたい限り。
雪がちらちら降るこの季節に、豆腐でなに作る?と聞かれたら、そりゃやっぱり湯豆腐でしょう。しっかりと濃い味の豆腐は、メインの風格たっぷり。
湯豆腐といえば、クレヨンしんちゃんのひろしが「夕食が湯豆腐」という報告にウキウキで帰宅するという描写があってですね、20代のころはぜんぜんピンと来なかったんですが、今ならわかるひろしの気持ち。
身体を労わってあげてるな〜というやさしい味をホフホフ言いながらいただく湯豆腐。しみじみ美味かったです。
三角厚揚げはグリルで炙って、生姜醤油にかつおぶしをパラリ。ピンと角が立った厚揚げは食べ応え十分で、バーベキューの助演男優賞を狙えそうです。
油抜きいらずのうす揚げを甘辛く煮て…
けつねうどんの完成。
後日「堂本豆腐店」の前を通りかかった時には、14時前だったにもかかわらず”売り切れ”の札がかかっていました。
うわさは本当だったか…やはり次回も電話予約して行かねば、そう心に決めたのでした。
堂本豆腐店 店舗情報
住 所 : 大阪府豊能郡能勢町大里388
電 話 : 072-734-1203
営業時間 : 午前7時~無くなり次第終了
定休日 : 毎週月曜日
その他詳細は、食べログページ をごらんください。