私が、“ネットメディアによる地方プロモーション”について意識して活動をはじめたのは、ちょうど初めてインターネットに触れた1995年ごろからでした。
よく言われていることですがネット以前に個人が情報発信をしようと思うとある種の特権やライセンスが必要で、がんじがらめにされ絶望的な状況でした。そこにインターネットという技術革新が起こったことにより、個人が手軽に大規模な情報発信を行えるようになったことに興奮したものです。
四国にある、人口九千人にも満たない小さな田舎町出身の私は、若かった当時はクリエイターとして売り出していきたかったので「東京人なんて1千万人以上もいてめずらしくもない。自分なんて日本に1億人以上も人がいるなかのたった九千人しかいないレアリティ溢れるこの出身地を武器として、自己をプロモーションしていこう!」という謎理論を展開して、ネットでの情報発信や作品作りをおこなってきました。
その後、出身地の地元の有志が立ち上げたメディア、「おもっさまミカメジャーナル」にも関わらせてもらったり(ほとんど何もできていませんが、メンバー一覧にちゃんと載せてもらっています)、地方の魅力をCM動画にするコンテストなどで受賞を果たし、そして現在、自分の住んでいるこの地域をテーマにしたこのサイトを立ち上げているなかで、「地方のプロモーションってなんだろう」と私なりに感じたり考えたりしたことがたくさんありました。
どうやって伝えればいいの?何を伝えたら?
地元の良さを伝えるためには何を題材にしたらいいのだろう?と考えたことが思考の迷宮にとらわれるようになったきっかけだったのかもしれません。
「うちの町は田舎だから空気が美味しいですよ?」
東京以外の町は全部田舎なのに、田舎の人に田舎って宣伝しても伝わらなくない?
じゃあ東京の人に「うちは田舎ですよ」って宣伝するの?東京の人もほとんどは田舎出身だから、田舎が嫌で都会に来た人に田舎がいいですよって宣伝するの?
じゃあ「うちの田舎はほかの田舎には無い何々がありますよ!」って宣伝するの?何々があるって競争に乗っかるなら、全部揃ってる東京のほうがいいじゃない。うちは何百番めにしょぼい東京ですよ、って言ってるのと変わらない。
そうだ。
「ある」ことを宣伝するのはやめよう。怖がらないで、「うちにはない」って言い切っていいじゃない。「事(こと)」を宣伝しよう。
「ここで起こるできごと」を伝えよう。
そう心に決めたものでした。
これだけ画一的にものが溢れている世の中で、「うちには無い」って言い切ることには不安もあります。
簡単に地方在住を斡旋する人もいるけど、そういう人は考えたこともないのかもしれません。
子供が難病にかかって容態が急変して、近くに治せる病院がないからヘリコプターを飛ばして必死に付き添っている母親の気持ちとか、都会の教育水準に少しでも近づくために街灯もない山道で20km離れた塾に通う子供の姿とか。
幸いにも豊能地方は文字どおりとても豊かな地域で、いまのところそういった心配はないのですが、それでも“あるものをたくさん並べるコマーシャルのやり方は終わった”とはっきりと言い切れます。豊能に“ある”ものを宣伝していっても、私の個人サイトでは誰のための何にもなれない、そう言えるのです。
ないならないで、自分から変わっていけばいい——。
このサイトを立ち上げるにあたっても、豊能地方の何かを紹介するサイトなのではなく、豊能で暮らすにあたって生活の内面から豊かになれる暮らし方の提案、そんなテーマを持って企画を練りました。
町の創生活動に関わってみる
そんななか、ご縁があって知り合ったわだファームさんからの紹介で、豊能町の企画「豊能町魅力発掘隊」に参加することとなりました。その発掘隊の第3回めが「豊能ディープキャラバン」だったのです。
ここからがやっと本題。
参加して来た、この豊能ディープキャラバンですが、とってもいいものでした!
詳細は省きますが、このディープキャラバンはただ豊能町が用意した観光スポットをめぐるものではありません。
豊野を訪ねることによって解決する、問題もしくは野望を抱えた架空の人というものをまず強烈に設定した上でその仮定されたルートをめぐるという、私では考えつかないスポット巡りの手法をとっていて、とても新鮮な体験ができました。
詳細は省く、と言いましたが、ここまで前置きを長く書いておいていまさらなんでそこを省くの、という声が聞こえてきそうですが、私だってなかなか本題に入らないのが辛いんです。世間ではもう年末の雰囲気で仕事納めに取り掛かっている中、私もブログ1記事を書き上げて年末年始はゲーム三昧するぞー!と息巻いているのに、1記事書き上げるどころか本題にすらたどり着かない現状に、一番悲しんでいるのは私なんです。
いや、何の話しだっけ。とにかくですね、ディープキャラバンに行ってきました。最初は「このサイトの記事ネタでも拾えればいいかなー」くらいにしか思っていなかったのですが、私の地方サイト運営に強烈に良い影響を受けるくらい、とてもいいものでした。
いままでは、あまりオフィシャルなものが好きじゃない性格なのか、インディペンデントな活動ばかり続けていたので、こういう行政主体のオフィシャルなイベントというものに関わったのが初めてでしたが、シティプロモーションの第一人者でおられる東海大学河井教授をお招きして座学やフィールドワークに取り組むなど、私の経験の中でも特に光る特別に良い体験ができました。
というわけで、やっと本題です。たくさん写真を撮ってきたのでどうぞ。
シートスの観客席のイスのテカリがいい雰囲気でてますね!
体育館でイスばっかり撮るというライフハック。
常連さん多し。くせになるしし肉うどん。
こんなうまいしし肉うどん食べたら、今後イノシシがうどんの具にしか思えなくなる。
日常から5分で異世界
牧にある巨大な夫婦杉を抜けてみたものは。
大阪人が納豆を食べるのは、山口納豆があるから
大阪人が納豆を食べないという偏見は、ここで完全に払拭されます。
守りゆく高山の伝統
高山右近出生の地に八幡神社と稲荷神社と観音堂と阿多古神社が同時にいっぺんにあったのが、当時の「おらキリシタンじゃねえずらよ!」的なカモフラ感があってよかった。写真をあげてないのはお察し。
まとめ
豊かすぎる日常。これが豊能の力か。
妻とも話してたんだけど、「何か」がある人は別に他の町でもいいんだろうけど、「何者でもなさ」が豊能の魅力なのではと。
メディアは映像や音声や文章で、モノの特徴をできるだけおおげさに伝えようとどうしてもやってしまいますし、受け手のほうもそれに慣れてしまってより大袈裟な表現や刺激を好む傾向にあります。
そんなとき、ふと足を止めて、「何者でもないことの豊かさ」を想像できますか。自分の内側の想像力から、それが見えてきたとき、豊能で豊かになるという私たちの旅は目的地に着くのかもしれません。
2 コメント
「…ディプーキャラバンに参加してきました」、拝読しました。
まさに、豊能の魅力の本質が語られていて、感激。。。
時間を切り取るようなステキな写真も、心に染み入るようです。
みなさんで一緒に考え、動いた時間が、みなさんに何かを残せたなら、素晴らしいことですね!
これからも、ご家族がすてきな豊能時間を過ごされますように。