夢のオーダーメイド!天然木のまな板は気分がアガる。

by 頼子 2018年5月9日

まな板、そろそろ買い換えたいな、そう思ったらあなたはどこへ買いに行きますか?

最寄りのショッピングモール?それともネットで手軽に?私も今までだったら量販店かAmazonで適当に買っていたことでしょう。

でも今回は違います。車を山へ山へと走らせ、たどり着いた先はこちら。中製材所さん。

秋鹿酒造さんのちかくの477号線の山間部をドライブしていると、突如「手づくり家具、木工品大売り出し!」と書かれた真っ赤なのぼりに遭遇したことはないでしょうか。

のどかな風景に突然現れる、気さくなのぼり。そのウェルカム具合にびっくりして、ハッと目を奪われるものの通り過ぎてしまう──、そんなことが何回か続いており「あそこ気になるよね」「大売り出しといえどやっぱりお高いのかしらね……」と私たち夫婦の間でもっぱらの話題でした。

手づくり木工品というんだったら、もしかしてまな板もあるんじゃない?よし、行くきっかけができた!というわけで、かねてより気になっていた中製材所さんへ「まな板ありますか?」とお邪魔してまいりました。

意を決して門を叩いたこちらが拍子抜けしてしまうくらいに、とっても気さくに迎えてくださったのは、代表の中(なか)さん。

中さんは生まれも育ちも能勢の方。知る人ぞ知るというよりも、知らなかった私たちの方が珍しい、そんな超有名人なのですが、なんせお話が面白い!

 

開発したらええのに……

大正のはじめにお祖父さんの代から始まったという中製材所は創業100年を優に越えます。そんな材木一筋のおうちに生まれた中さん、もちろん豊能町の西地区が開発される前の姿もご存知だそうで、高校3年生のとき未開発の西地区を見て(開発したらええのに)と常々思っていたそう。

何もない野山を見て開発の可能性を考えてしまうという、高校生にして末恐ろしい才能……!わたしが高校生のときなんかミスタードーナツ100円セールのことと漫画のことしか考えてませんでしたよ……。

そして、開発時にはときわ台や東ときわ台へ資材を運んだことも多々あるそうです。ひょっとすると、あなたのおうちのその柱も中さんのやつかも?!

こちらは看板犬のサスケくん。おとなしくってとってもいいこ。

昨今の人口減少に伴い戸建用資材の需要も少なくなったこともあり、製材のかたわらで始めた手づくりの木工品や家具。個人のオーダーの他に、幼稚園、道の駅 、その他飲食店のテーブルや椅子、看板なども手がけていらっしゃいます。能勢近辺だけでなく、大阪、京都、兵庫など、通りがかりも含めて、様々な所からはるばる中製材所さんを目指してお客さんがやってくるそうです。

この日の能勢は一段と寒く、わざわざ焚き火を出してくださいました

 

教えたいような教えたくないような、そんな宝の山

無造作におかれた宝の山のような工房にワクワクする

さっそくお目当のまな板を見せていただくことにした私たち。

大きさも厚さもさまざまなタイプがあり、天然木ならではのヒノキのいい香りがします。

……しかもね、教えたいような教えたくないような複雑な気持ちゆえ、小声なのに強調して申し上げたいのは、よそではありえないくらい、とっても良心的なお値段なんです!

 

こちらは料亭などに使われる、子どもの背丈ほどもある業務用のまな板。さぞかしお高いんでしょう?と思いきや、わたしのポケットマネーでも買える破格のお値段。わが家には置く所なんてないのに、ひとつください、と思わず言ってしまいそうになります。

道路向かいの倉庫にも手づくり家具がたくさん!

山積みされた木工家具の数々。マンション暮らしなのに、これはいずれ庭におくやつやね……などついつい妄想が広がります。

 

イイ感じのオリジナルカッティングボードがほしい!

中製材所さんでなら、オーダーという夢にも手が届くのでは?!

そう考えた私たちは、常々ほしいと思っていたカッティングボード兼プレートの構想を胸に、人生初オーダーに挑戦。何度かお打ち合わせをさせていただきました。

2週間ほど経ったころ「良さそうな材木が出てきたから一度見においで」とご連絡をいただいて、再び訪問したのでした。

この日の中さんは焼き鳥屋さんに置くというテーブルを製作中でした。テーブルの足も一枚板で仕上げるという総木製のテーブルをひとつひとつ丁寧に手作業で。冬の風景、木、鋼の道具、どこをどう切り取っても絵になります。

 

 

わいのまな板は、京都の仁王門にも使われた賞状つきの材木やで!

お取り置きいただいた、中さんお墨付きの材木たち。

よくあるおしゃれ雑貨屋のかわいいカッティングボードとはワケが違います。

まずはこちら、なんと最高単価賞を受賞した大木から切り出された、ケヤキのカッティングボードでございます。

最高級のケヤキゆえ、おなじ材木から京都の仁王門が作られたていたりと、バックグラウンドの格が凄すぎます。

こちらはもうひとつのお墨付きハンノキ。大理石のようなきめ細かなマーブル模様にうねるような表皮が美しい。これはぐっと和風な雰囲気で床の間に似合いそうな逸品。

材木のことを語る中さんは、ひときわ生き生きとしてとても楽しげ。私たちが知るよしもない木材市場の話や木の特性についてたくさん教えてくださいました。

お取り置きいただいた木材は、どれもこれも個性的で素敵なものばかり。悩みに悩んだ結果、2枚お買い上げすることにしちゃいました。


「木のこと、全然わからないんだけど……」

「一点だけなんだけどオーダーってできるのかな」

「ちょっと覗いてみたいだけなんだけど……」

中製材所はちょっと車が止めにくい場所にあるのですが、ほんのすこし勇気をだして立ち寄ってみてください。見るだけでも大歓迎です、とのこと。木工について知識ゼロでも大丈夫。きっと中さんのお人柄に、これまでの心配が気苦労だったとすぐにわかるはずです。

 

世界にひとつだけ!カッティングボード兼プレートを使ってみる

わが家へお迎えした、オリジナルカッティングボード兼プレート。いわずもがな今夜の主役です。

色々な種類の生野菜をこんもりと盛り付けて。ベビーリーフやスナップエンドウ、みずみずしいわさび菜をたっぷり。グリーンが映えます。

そのかたわらでハーブ系のソーセージを焼きます。

塩麹で漬けておいた鶏の手羽元、ハーブ系のソーセージ、つくりおきしていた自家製簡単ロースハムを盛り合わせていきます。

これは宴の予感。

色々なアングルに回り込み、ええわぁ〜パシャ!ええわぁ〜パシャ!とシャッターを切る、なりきり紀信な私。この間、子守を夫に任せているのがバレバレです。

最後に牛肉の登場。スーパーで買った焼肉をジュージュー焼いて盛り付けていきます。

大都会では2000〜3000円するやつ。

一皿ですごいごちそう感でたーー!

これ、中世の貴族が食べてたやつちゃう?!なんて言いながら大盛り上がり。(うしろの青じそドレッシングが貴族感をかき消していますが笑)

かなり広めのプレートなので、空いたスペースではお肉をカットするためのまな板として使用したんですが、なんだかそれさえも「目の前で切り分ける」というエンターテイメント。これはおもてなしの時に活躍してくれそうな予感大です。

今回は肉料理にしてみましたが、チーズ盛り合わせ、前菜、手まり寿し、いなり寿しなんかも映えそうです。スキレットも直置き可能だから、アツアツのアヒージョとフランスパンを乗せて、パンをひとりひとりにカットしながらサーブなんてのもいい。

こちらはもうひとつのカッティングボード。オイルを薄く塗り込んでメンテナンスしてやると美しいこと美しいこと。

手間に対して“美しさ”という百点満点のフィードバック

天然木製品で気になるのが、そのメンテナンス。

スポンジ(汚れが気になる場合は、中性洗剤をつけても◯)で汚れをさっと洗いながした後、塩か重曹をふりかけて、タワシで優しくこすって洗い流します。使った後はこれで完了。

上記のメンテナンスに加え、たまにオイル(わが家は手軽にオリーブオイルを使用しています)を薄ーく塗りこむスペシャルケアを。これらのメンテナンスは一見面倒に感じますが、手間をかければ手間をかけるほど”美しくなる”という木側のフィードバックがすごい。それゆえ愛着も日に日に増していくようです。よーし育ててやるからな、とか思いながら磨き上げています。

大量生産の品とはちがう、その適度ないびつさが愛おしい。”自分の道具”として日に日に愛着が湧きます。

一方こちらは日常使いのヒノキのまな板。使ってみてわかる、包丁の刃がまな板に吸い付くように優しく当たるという新感覚。とんとんとんと奏でる音さえも耳に優しく、包丁が痛まないのが分かります。

そしてまな板を取り出すたび、ふわりと広がるヒノキの香。よし料理するぞ、と気分も上がります。

本物の木が食卓や台所にあるだけで、くらしって満たされるんだな。
ほれぼれしながら今日もまな板を愛用する私なのでした。

何気なく壁に立てかけた姿もさまになる。


中製材所 店舗情報

住所 : 大阪府豊能郡能勢町倉垣1748

TEL :  072-737-0010

WEBサイト : http://wood-naka.com/

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