誘拐、監禁、拷問。突然絶望的な死ぬ縁に立たされるアレックスという女性。九死に一生を得て脱出するが、これはまだ物語の始まりに過ぎない——
とにかく展開が読めない、物語が二転三転するミステリ小説です。
“物語が二転三転するミステリ小説”と紹介すると、小説を読み慣れている人ほど「ああ、あれ系ね」と何かしらの予想してしまうかもしれませんが、大丈夫です。きちんと予想を覆してくれます。もちろんミステリ初心者にもお勧めです。
最初からいきなり見覚えのない謎の男に誘拐されたかと思うと「おまえが死ぬのを見たい」といって監禁、拷問をうけ、命からがら逃げ出したアレックス。かと思ったら予想外の行動に走るアレックス。このアレックスを中心に物語が常に動き続けますが、最後の最後までアレックスという女性が何者なのかわからないでいます。そして結末を目にしたとき、はじめてアレックスと読者が一体になれるのです。
この小説を勧めるにあたって、二点ほど注意が必要です。
ひとつはこの小説はシリーズものの第二作目なんですが(1作目を読んでなくても大丈夫)、物語の途中に1作目のものすごいネタバレを含みます。なのでこの小説を読んだ後もし1作目を読みたくなる可能性が少しでもある場合、読む順番に注意する必要があります。
もう一点の注意するべき事は、少なからず暴力的な表現があります。官能小説ではないので暴力そのものを売りにしている小説ではないんですが、独特の暴力描写が随所に盛り込まれますので、苦手な方は注意されたいと思います。
以上の二点に注意すれば、「最近読む小説なくなってきちゃったなあ」というマンネリした小説ばかり引き当ててしまっている方には特におすすめできます。