カラフルでかわいい野菜の作り手は気骨の人だった。真の“おいしい野菜”を育てる覚悟。

by yu1 2020年7月6日

とよのていねいでは、毎週火曜に豊能町産のこだわり野菜を販売する「とよのていねい野菜市」を開催しています。今回は契約農家さんの中でもファンの多い「大阪・豊能 わだファーム(以降、わだファーム)」さんからお話をうかがいました。

執筆:相澤 由依 / 取材・撮影:宮田 佐也佳
編集:宇都宮 頼子

店頭に並ぶ、カラフルで少し珍しい野菜たち。ピン!ときれいに袋詰めされた野菜が売り場でも目を引きます。黄色いシールが目印の「わだファーム」さん。このシールを見るやいなや、カゴに野菜を入れるお客さんも多く、実は私もそのひとりです。 

5月下旬、豊能町東地区にあるわだファームさんの農園にお伺いしました。
日差しが強く晴れた日でしたが、標高が高いおかげで風が吹いて心地良くさわやかなくらいでした。

わだファームの作り手である和田さんは、元デザイナー。グラフィックや設計など無形のものを生み出す仕事をする中で、実際に手に取ることができる「もの作り」に興味を持っていたのだそうです。
「わだファーム」印のかわいいシールや畑のマルチ張りの美しさから、デザイナーらしい美意識がそこかしこに。

そんな和田さんは数ある「もの作り」の中で、なぜあえて野菜を選んだのでしょうか?
大きなきっかけは、東日本大震災。生きる上で不可欠な「食」に対する意識が変わっていったのだと教えてくれました。

これからはもっと「食」が大切な時代になると感じた和田さんは、以前から自分で作ってみたい、経験してみたいと思っていた農業と出会います。滋賀県内の有機農業法人での農業研修に参加し、あまりの野菜の美味しさに感動してこの世界にハマってしまったと笑います。

「豊能町で農業がしたい!」決断そして覚悟

神戸のご出身で、もともと大阪が好きだった和田さん。農業をするなら大阪で、と研修先だった滋賀県から豊能町へ移住を決めました。

はじめはなかなか農地が見つからずにかなり苦戦されたそうです。それならばと「先にトラクターを購入し、家の前に停めていつでも農業を始められるように準備をしていた」というエピソードからは、この地で本気で農業をする!という堅い決意が感じられます。

そんな折、今の農地が運良く見つかったそうです。とはいえ、当初は畑一面が笹で覆われていた状態だったとか。
さらに農地が細長く、地形にそって曲がっているためマルチを張る作業が一筋縄ではいかない、害獣対策として電気柵が必須……とこの土地ならではのご苦労も多いようです。

今回訪れた圃場は、山の中にあり自然の山々を見下せるロケーションが最高。
この他にも町内に畑が点在しており、それぞれの畑の立地や広さによって、栽培する野菜を決めている。

土地の長所を活かした野菜作り

和田さんは、水やりは基本的には行わずに雨水のみで育てる方針とのこと。素人の私たちはびっくり。

え!水やりしなくて大丈夫なんですか!?

水はほんの少し与えるだけで大丈夫。程よく厳しい環境にすると、水を求めて根を張るから結果的に生命力の強い野菜が育っていくんよ。

もともと田んぼだった土地のため保水力が高く、土の状態を良くすることで、水やりの手間を軽減しているそうです。

元田んぼの畑には、そんなメリットがあったのですね!

味、食感、見た目。ひとつひとつを大切にしたい

和田さんの野菜といえば、味の美味しさはもちろん繊維のきめ細かいところが魅力なんです!

そのほかに育てる上でのこだわりを聞いてみました。

肥料をあまり多くあげないようにすることと、少し小さめに作ることやね。

へー小さめに!

大きい野菜の方がお得に感じがちですが、小さめの野菜として育てて適期に収穫することで食感や食味が良くなるのだそうです。たしかに和田さんの野菜は、かわいい手のひらサイズの中に、ギュッと凝縮されたような甘みや旨味を感じます。

美しくパッケージされたあの野菜たちはどのように作られているのですか?

作付けのときに間隔を等しくすることで、野菜の形が均一にきれいに揃ってできるようになってくる。そうすることで結果的にきれいな包装もしやすくなるんよ。

なるほど!作付けの時から収穫・包装、お客様の手に渡る瞬間までイメージされた栽培方法だったんですね。

「本当に美味しい」と思える野菜だけを

自分が食べてみて「本当に美味しい」と思った野菜だけを作りたい、その一心で、自分の畑ではどのような味に育つのか試行錯誤を繰り返している和田さん。そのとてつもない労力と時間に、純粋に美味しさを極めようとする職人魂を感じました。

農家に向いていると思いますか?という私たちの問いに、「自分自身は、なんでもある程度は器用にこなせるタイプだけど、何かひとつ極めたものはあるかと聞かれると『ない』と思っていた。」と振り返りながら話し始めた和田さん。「でも、農業には技量・計画性・知識・体力面といろいろな作業が含まれている。だからこそ自分に向いているのではないかと日々自分に言い聞かせてるんですよ。」と笑う姿からは、豊能町の若手農家を先導するような力強さを感じました。


INFOMATION(取材協力)

大阪・豊能 わだファーム
http://marker.jp/wadafarm/

2 コメント

豊能の野菜 炒め録 〜キャベツと豚肉の炒めもの〜 - トヨノノPORTAL - 曲がりくねって、ただいま。大阪府 豊能町 - 2020年7月12日 - 3:41 PM

[…] 西側で買おうと思ったら大学堂株式会社の「とよのていねい野菜市」かと思います。とよのていねい野菜市で出されている野菜農家さんの記事はこちら※私はここで買うことが多いです(毎週火曜日に開いています) […]

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豊能の野菜 炒め録〜枝付き大葉で贅沢チャーハン〜 - トヨノノPORTAL - 曲がりくねって、ただいま。大阪府 豊能町 - 2020年7月17日 - 1:04 PM

[…] 西側で買おうと思ったら大学堂株式会社の「とよのていねい野菜市」かと思います。とよのていねい野菜市で出されている野菜農家さんの記事はこちら※私はここで買うことが多いです(毎週火曜日に開いています) […]

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